この言葉をRAG FAIRのＨＰで見たとき、
私の頭の中に真っ先に思い浮かんだ人がいる。
それは、去年の今日、７月13日に他界した、おじ。

それまでほとんど会った事のない人だった。
会った記憶と言えば、小学校の頃１、２回だけ。
そんなおじが、癌になったと聞かされたのは、一昨年の初め。
昨年の４月、広島の病院から地元の病院へ転院。
それが、十数年ぶりの再会だった。

私の記憶にあったおじは、
お酒が大好きで酔うと大声になる、豪快な人。
酔ってトイレの窓に頭をぶつけて、血だらけになった姿。
･･･インパクト大、だったんだもん。(苦笑)
でも、病院で会ったおじは、痩せてしまってた。
手も、足も細く、元気に話すけれど、やはり痛々しい。
本当に同一人物なのか、そう思った。

そんなおじも、タバコだけは止めなかった。
喫煙所は病室の上の階。
腕にたくさんのチューブをつけて、車椅子に乗って。
自分で操作が出来ないので、一度だけ、
たった一度だけ、喫煙所まで押して行った事がある。

『仕事で慣れてるもん、任せてよ』

そう言って押すと、すごく嬉しそうに笑ってくれた。
それは、今でも覚えている。
後から聞いた事だけど、おじが

『扇央に車椅子を押してもらえたんだ』

と嬉しそうに他のおじやおばに話していたと言う。
たった一度のことなのに、そんなに喜んでくれたなんて･･･。
私は嬉しいのと恥ずかしいのとで、泣いた。
何度でも押して連れて行けばよかった･･･そう思った。

そんなおじに会いたい理由。
それは、どうしてもおじに謝りたいから。

おじが亡くなった13日は、
私がとても楽しみにしていた予定の直前だった。
上司を説得し、勤務交代をし、
友人たちと当日の打ち合わせも済んで、準備万端。
そんな矢先のことだったのだ。
職場で母からの電話を受け取った時、
真っ先に私の口から出た言葉は、

『じゃあ、私、行けないんだね。行きたかったのに』

おじが亡くなったと言う悲しみよりも、
自分が行きたかった場所に行けなくなったことが残念で。
おじを悼む言葉よりも、
行きたかったのに、って言葉の方が先に出てきてた。
帰っておじを見た途端、後悔･･･後悔･･･。

あれから１年。
ずっと心のどこかで、あの日口を突いて出た言葉を、
ずっと後悔していた自分がいた。
なんであんなことを言ってしまったんだろう、って。
おじの写真を見るたびに、心の中で謝ってた。
１周忌の今日、仏前でも。
情けなくて情けなくて、涙が出た。

本当なら、できることなら。
おじに会って、顔を見て直接謝りたい。
おじに怒ってもらえたら、このもやもやが晴れる気がするから。
自己満足だって言うのは、重々承知なんだけど、ね。